アーカイブス出版社との仕事

企画書の配信からほぼ一ヶ月後に、アーカイブス出版社との第一回の打合せが行われた。編集者の意向は以下のようなものであった。

  • 内容が、読者の興味を引き続けなければならない。その為の流れが重要であるとの指摘。筆者自身も感じており、「企画のたまご屋さん」のプロデューサーも指摘されたのだが、初稿の前半部分は大胆にカットする事になった。これは、別の企画にするのが適当であると考えている。
  • 読み手の立場に立っての考え方を随分と教えていただいた。これは、初稿の内容を隅から隅まで熟知している筆者にとっては、なかなか難しい作業であった。
  • 校正・校閲の厳しさにびっくりした。という事で、逆に初稿の至らなさが身に滲みる。
  • 論理的に弱い部分は、即座に指摘されたが、修正原稿では、かえって論理をこねまわした感もあり、反省の必要を感じている。

具体的な修正作業は以下の通り。

  • 本郷台の散歩部分の全面カットと章立ての再構築。章立てを出来るかぎり時系列に沿う形にする。しかし、次のような難しさがある。本来、本書は謎解きを主要な構成要素としているので、漱石の若いころの出来事をその時点で全面的に解説するわけにはいかない。謎を解くヒントは、漱石の中年以後の小説の中に埋め込まれているのである。しかも、そうした謎を埋め込んだ理由について、きちんと解析しないと、若いころの出来事の解釈がうまくいかない。
  • 悪い見本のような言葉使いを気付いた範囲内で修正した。
  • 読者が読んで多少疑問を感じるのではないかという箇所の修正。

作業経過記録

  • 2007.11.5 第1回打合せ
  • 2007.11.21 第2回打合せ   初稿に対する詳細なコメントをいただく。今後の修正の基本方針を決め、正月明けを目標に書き直し開始。
  • 2007.12.5 第一章 謎のはじまり 初稿
  • 2007.12.13 修正1213版
  • 2008.1.8 修正080107版
  • 2008.1.9 引用文献等一式段ボール2箱を宅急便で送る
  • 2008.2.9(土)校正紙(ワード)受領。赤校正内容をワード原稿に反映させる
  • 2008.2.15(金)修正080215版(ワード、rtf)送付
  • 2008.2.19(火)プリントアウト校正紙受領
  • 2008.2.23(土)校正紙に赤を加えて、送付
  • 2008.2.25(月)カバー案3種類受領
  • 2008.3.1(土)pdf プリントアウト受領
  • 2008.3.2(日)pdf プリントアウトにマーカー等で校正後、送付
  • 2008.3.4(火)表紙、カバー、帯受領
  • 2008.3.6(木)入稿済pdf 受領
  • 2008.3.9(日)まで、バグさがし
  • 2008.3.25(火)見本完成予定
  • 2008.4.25(金)発売予定日

この作業記録を見ると、最後のあたりが超特急になっている。一通りの校正が終わり、入稿済PDFが作られた3月6日後にも、いくつかのバグが見付かったのは、第一に、筆者が不慣れであった為、第二に、充分な時間的余裕を持って作業が出来なかった事によると考えられる。時間に追われる週刊誌等ではないので、その辺りはなんとかならないものかというのが、率直な感想である。

送付文献リスト(080109)は次の通り。

  • 1.角川版 『三四郎』
  • 2.袖が邪魔
  • 3.相馬黒光:大塚楠緒子女史
  • 4.『近代文学研究叢書』第十一巻、昭和女子大学近代文学研究室、1959年
  • 5.漱石全集 22 書簡ー1
  • 6.漱石全集 10 道草
  • 7.漱石全集 24 書簡ー3
  • 8.漱石全集 12 夢十夜、硝子戸の中
  • 9.漱石全集 5  三四郎
  • 10.明治人のお葬式
  • 11.あのかたの記
  • 12.漱石全集 18 漢詩文
  • 13.客間
  • 14.漱石全集 20 日記・断片 下
  • 15.漱石研究年表
  • 16.小坂晋 漱石の愛と文学
  • 17.『漱石全集』別巻
  • 18.漱石全集 2 琴のそら音、一夜
  • 19.夏目鏡子『漱石の思い出』
  • 20.『美学の泰斗・大塚保治』
  • 21.『小屋先生のこと』
  • 22.群馬人国記
  • 23.漱石全集 23 書簡ー2
  • 24.漱石全集 19 日記・断片 上
  • 25.漱石全集 月報
  • 26.漱石全集 16 評論 池辺
  • 27.露
  • 28.ひと夜  小坂晋 漱石の愛と文学からの孫引き
  • 29.密会
  • 30.漱石全集 17 俳句・詩歌
  • 31.漱石全集 1 吾輩は猫である
  • 32.漱石全集 3 草枕
  • 33.漱石全集 25 別冊 上
  • 34.磯部尺山子 『漱石さんの手紙』
  • 35.半藤一利『漱石先生ぞな、もし』
  • 36.漱石全集 4 虞美人草
  • 37.宮井一郎『夏目漱石の恋』
  • 38.漱石全集 11 明暗
  • 39.漱石全集 6 それから
  • 40.漱石全集 8 行人
  • 41.そらだき の題目
  • 42.長谷川時雨『近代美人伝』
  • 43.秦郁彦『漱石文学のモデルたち』
  • 44.漱石全集 13 英文学研究 英詩
  • 45.小宮豊隆『夏目漱石』p.194、190  紛失したので後ほど別便で送付