2006年9月8日 友人への出版一般に関する相談


○ 出版界に関係していると聞いていた友人に、メイルで相談をしてみた。原稿はある程度できたものの、どうやって出版まで漕ぎ着けて良いのか皆目わからない。そこで何か信頼出来る情報を得たいと考えました。

    2006年9月8日
    ご相談

    お元気でいらっしゃいますか。
    ひとつ御相談がありましてメイル致しました。お知恵を拝借出来れば嬉しく思います。

    実は、この二年間くらいですが、週末の時間を使って、書き物をして来ました。合計すれば400字詰めで700枚以上になるかと思います。文章とか構成とか問題が大いにあるとは思いますが、内容の一端はなかなか面白いと思っています。
    身の丈以上とは思いつつ、最近、これをなんとか本にしたいと思い始めましたが、何分その方面に関しては知識がゼロで途方に暮れています。自費出版という手段がある事は知っていますが、出来ますれば、どこかの本屋さんを通じて出版出来ればと願っています。
    どこへアタックするのが良いとか、何らかのお知恵を拝借出来ますでしょうか。この件に関しては、必要ならば可能な限りの都合をつけて、上京出来るかと思います。

    原稿の内容は大体次のようなものです。

    仮題:漱石の秘恋

    漱石は明治27年に、突然松山の尋常中学へ赴任するが、この背後には失恋問題があったとのうわさがある。更に、漱石の恋人に関して、論議が咲き乱れており、結論は出せない現状である。本書では、公表されている文芸作品・資料等を分析して、漱石の秘められた恋の謎をほぼ完全に解明する事に成功した。大学時代の初恋、闇に葬られた明治27年の「おどろくべき事」、明治41年の「三四郎」執筆に至るまでの漱石の秘恋について明快に謎を解き、あわせて作品への影響を考察する。漱石自身の言葉で云えば、「百年前に死んだ女」が「百年後に復活した」事実を、「三四郎」発表(1908年)からほぼ百年後の現代において、初めて明らかにした。

    なお、原稿はTEXで書いていますので、使うスタイルによりますが、目次、索引、章番号などは自動生成され、(横書きの)本の形になっています。

    お忙しい所申し訳ありませんが、出版に関してお知恵を拝借できれば有り難く思います。

程なく有り難い回答をいただいた。

    メール拝受しました。400字詰め700枚の原稿とのこと、かなりの労作であると思います。

    現在の出版状況を省みると、出版実績のない人が本を出すのは、なかなか難しいようです。一つには、大手出版社は著者の名前に頼った出版が中心で、新人を発掘する手間をかけないことがあります。何らかのつてがあって、紹介してもらえることがあればそれを頼るのが一番ですが、もしない場合には持ち込みという形をとらざるを得ません。
    今、全国に出版社は3,000社ほどありますが、大手(所謂音羽グループや一ツ橋グループなど)以外の中堅出版社の中で、今回の原稿(文芸に属すると思われますが)と同傾向の書籍を出版している版元に持ち込むという方法が考えられます。具体的にどの出版社かは正直分かりませんが、出版された書籍の傾向を調べて、合いそうな出版社に1社ずつ連絡を取ってみるほか手はなさそうです。筑摩書房のように、投稿原稿は一切受け付けないところもありますが、出版社によっては原稿内容によって、前向きに対処してくれるところもあると思います。
    また、文芸社などは送った原稿にはすべて目を通し、段階に分けて出版する(例えば、1自費出版のみ。2自費出版でかつ書店に配本する。3文芸社の費用で出版する)ことを行っている出版社もあります。 まずは、一般にあまり名を知られていなくても、いい本を出している中堅の出版社をいくつかリストアップして(文芸書のコーナー見るとある程度つかめる思います)、連絡をとってみてはいかがでしょうか。
    このような返答でアドバイスになったかどうかはなはだ心もとないのですが、私の知りうる情報をお伝えいたします。

      そうか、この通りだと思う。手間を惜しまずに売り込みをはかるのが一番という事か。しかし、そのような事には馴れていないし、そんなに手間ひまをかける事も出来ない。文芸社に持ち込むという方法がありそうだが、それは最後にしよう。あまりあわてずにじっくり進める事にした。