「漱石、百年の秘恋」目次 (初稿)

  • 目次
  • 序章
  • 1. 江戸の町並み
    漱石の足跡・著作内容をより深く理解するため、及び本書中で展開する場所に関する伏線として、関連する土地について説明する。
  • 1.1 江戸の大火と区分
  • 1.2 千駄木界隈の小道の変遷
  • 1.3 本郷界隈の明治の町名
  • 1.4 追分の三四郎の下宿 (三四郎 二の六 p. 308)

  • 2. 西片町から菊人形見物へ
    「三四郎」中の菊人形見物のコースを詳細に辿り、千駄木周辺を詳しく説明すると同時に、漱石の土地に対する感覚を紹介する。広田先生の転居先の紹介は、漱石自身の西片町からの転居と対比させる時の、伏線とする。
  • 2.1 広田先生の転居先 (三四郎 四の九 p. 367)
  • 2.2 菊人形見物のコース(三四郎 五の四 p. 401 )
  • 2.2.1 西片町から大観音まで
  • 2.2.2 団子坂
  • 2.2.3 藍染川

  • 3. 漱石の住んだ家と転居
    漱石の転居は、その裏に多くの機微を含み、本書の中心テーマに直結しているので、その経緯を説明する。西片町からの転居は、後述の楠緒子との関係の伏線とする。
  • 3.1 駒込千駄木町57番地:猫の家
  • 3.2 千駄木町の家探しの経緯
  • 3.3 西片町の家
  • 3.4 西片町からの転居

  • 4. 団子坂上から動坂へ(三四郎 四の二 p. 347)
    「三四郎」中の散歩コースを紹介し、合わせて、西片町からの転居理由のエピソードと明治22年の邂逅の謎解きの伏線を入れる。

  • 5. 夏目家の家賃
      西片町からの転居理由は、家賃の値上げとされているので、紹介する。

  • 6. 白山付近と原口画家の家(三四郎 十の二 p. 537)
      「三四郎」中の原口画伯の家付近の記述を辿り、11.5.3節「大塚保治への配慮 」の伏線とする。
    • 6.1 駒込曙町
    • 6.2 帰り道
    • 6.3 原口画家の家

    • 7. 追分の野々宮の下宿
      「三四郎」登場人物の住居を特定する一環。

  • 8. 真砂町の美禰子の家
      真砂町は、学生時代から漱石には因縁の深い町であった事を詳述する。
    • 8.1 「三四郎」の舞台は明治何年か
    • 8.2 美禰子宅から教会までの道
    • 8.3 真砂町と漱石
    • 8.3.1 正岡子規
    • 8.3.2 太田達人
    • 8.3.3 菊池大麓
    • 8.3.4 藤村操
    • 8.4 美禰子のモデル候補達
    • 8.5 本郷日陰町で見つけた猫の看板

    • 9. 広田先生
      広田先生には、漱石の若い時代の恋愛と明治41年当時の状況が反映されているので、それらの伏線として、詳述する。
    • 9.1 広田先生の転居
    • 9.2 広田先生が独身の理由ー1
    • 9.3 広田先生が独身の理由ー2:夢の中の女

    • 10. 大塚楠緒子
      大塚楠緒子と漱石との明治四十年までのかかわりを詳述する。記録に残るエピソード・大塚楠緒子の著作への漱石の対応を記述し、応答する漱石の著作中に、いくつかの謎掛けがある事を見出す。それらが全て大塚楠緒子を示唆している事、若き日の恋愛経過を示唆する事を紹介する。学生時代の楠緒子と漱石の運命的な邂逅について、そのルートと時期を特定する。明治27年の破局の詳細を資料と資料のすき間を補填する推理により解明する。大塚楠緒子の著作の中に、明治22年の漱石との邂逅が明確に記述されている事を見出し、漱石の返事が含まれる著作を紹介する。
    • 10.1 大塚楠緒子の略歴
    • 10.2 楠緒子の早生
    • 10.3 楠緒子と漱石と大塚保治
    • 10.4 漱石と楠緒子の出会い
      • 10.4.1 「硝子戸の中」の楠緒子
      • 10.4.2 葬儀車列の小さな娘・夢の中の美人・眼医者の女の子・人力車の楠緒子
      • 10.4.3 狩野亨吉宛て書簡中の女
      • 10.4.4 興津のお見合い
      • 10.4.5 密約
      • 10.4.6 漱石の肺病宣告
    • 10.5 明治27年の出来事ーーー第一の転回
      • 10.5.1 伊香保への呼び出しと急転回ーーー伊香保事件
      • 10.5.2 友人達の記述
      • 10.5.3 煩悶
    • 10.6 鏡子夫人の「漱石の思い出」
      • 10.6.1 漱石の縁談話と芸者の娘
      • 10.6.2 明治27〜28年の詳細
      • 10.6.3 法蔵院で迎えた破局
      • 10.6.4 君なんかとは月とすっぽん
      • 10.6.5 鏡子夫人と楠緒子の出会い
    • 10.7 漱石研究年表の記述
    • 10.8 漱石と楠緒子の文芸作品上の応酬
      • 10.8.1 応酬の基礎
      • 10.8.2 楠緒子からの最初のラブコール
      • 10.8.3 ひと夜 (楠緒子)
      • 10.8.4 密会 (楠緒子)
      • 10.8.5 漱石の英詩
      • 10.8.6 あの方の記 (楠緒子)
      • 10.8.7 ある鴬の鳴くを聴けば、ある女の訴ふるを聴けば
      • 10.8.8 琴のそら音
      • 10.8.9 「一夜」と「猫伝 六」に描かれた楠緒子
      • 10.8.10 客間 (楠緒子)
      • 10.8.11 「猫伝 十一」の謎掛けー楠緒子と銀杏返しの女の子
      • 10.8.12 草枕
      • 10.9 楠緒子が通学途中の漱石を見かける事は可能か
      • 10.9.1 漱石と楠緒子が通った学校
      • 10.9.2 漱石の通学路
      • 10.9.3 楠緒子の通学路
      • 10.9.4 明治22年の葬儀車列中の美少女との予期せぬ邂逅

      • 11. 漱石の第二の転回
        明治四十年に漱石は西片町から早稲田南へ転居する。転居の理由は、家賃の値上げであったが、実は、大塚楠緒子との第二の訣別が理由であった事を詳述する。ところが、その半年後に楠緒子の病の知らせとかつての明治二十七年の訣別の真相を知り、漱石の心の中に楠緒子が復活する。その直後に書かれた「三四郎」を分析し、楠緒子に対する温かな復活のメッセージを紹介する。
      • 11.1 俗事との決別
      • 11.2 早稲田南町転居前後の漱石と楠緒子
        • 11.2.1 転居前後の漱石の手紙
        • 11.2.2 楠緒子への書簡中の宛名の書き方
        • 11.2.3 楠緒子作品に対する漱石の評価の書き方
        • 11.2.4 大塚家で開かれたパーティ
        • 11.3 西片町からの転居の秘められた理由
        • 11.3.1 家賃問題
        • 11.3.2 逃避ー松山へ
        • 11.3.3 逃避ー西片町から
        • 11.3.4 楠緒子の小説「露」
        • 11.3.5 占いの効果
        • 11.3.6 虞美人草
        • 11.3.7 事項のまとめ
        • 11.4 楠緒子の復活
        • 11.5 三四郎への反映
        • 11.5.1 広田先生の転居の意味する事
        • 11.5.2 広田先生の夢の中の女と楠緒子
        • 11.5.3 大塚保治への配慮
        • 11.5.4 新たな課題
        • 11.6 漱石の執筆姿勢
        • 11.7 様々な見方
        • 11.7.1 明暗への反映
        • 11.7.2 佐佐木信綱と小宮豊隆の回想
        • 11.7.3 鏡子夫人は知っていた?
        • 11.7.4 小屋の故郷の群馬の風評

        • 12. 謎解きーーー明治二十七年の驚かすやうなことーーー十月事件
          本書中のここまでの記述により、明治二十七年以後の様々な経緯が明らかになった時点で、明治二十七年十月に起きた事件に再び立ち返り、より深く分析して、一つの推論を提出する。
        • 12.1 事項のまとめ
        • 12.2 三通の転居通知の解読
        • 12.3 芸者とは誰か
        • 12.4 事件
        • 12.5 終焉
        • 12.6 潔い真相の推論ー推論-A

        • 13. 漱石の独白
            漱石の残したメモは、断片として著作集に残る。その中に漱石自身の内面の記録としての意味が認められる数片がある。それらを分析して、漱石の三角関係の機微を記述する。
          • 13.1 楠緒子 妾を撃退ス
          • 13.2 東風子ノ新体詩集
          • 13.3 秘匿すべき会話
          • 13.4 三角関係の取引
          • 13.5 西片町時代の心理戦
          • 13.6 明治二十七年 断恋の詳細
          • 13.7 小説中の女の決意

          • 14. 「一夜」の謎解きと翻案
            「一夜」は明治三十八年に書かれた。英国帰国後の微妙な時期故に、漱石は「一夜」の中に謎掛けの形で楠緒子を折り込み、現在の関係を質している。その為か、内容は象徴的に描かれ、なかなか解釈が難しいとされる。楠緒子との関係を念頭において、翻案し、楠緒子を示唆する謎掛けを解く。

          • 15. それから
            「それから」は、「三四郎」の次に書かれた。「三四郎」の中で、復活直後の楠緒子に急ぎのメッセージを送った漱石は、次の作品では、前作で解決出来なかった現在の問題を折り込み、楠緒子に伝える。

          • 16. 真相の裏側ー推論-B
            第12章で明治二十七年の一連の事件について、ひとつの推論を提案したが、ここでは、「一夜」と「それから」を踏まえて、明治二十七年に起きた漱石と楠緒子の破局の隠された真相に迫る。

          • 17. 「夢十夜」の謎解きと漱石の告白
            「夢十夜」は漱石の心の中で楠緒子が復活した直後に、楠緒子へのメッセージの意味を持たせて、明治四十一年に急遽執筆されている。その中には、若き日の出来事が記述され、破局に至るまでの大塚家の真相を理解した事が記され、漱石の恋の封印が終った事が知らされる。「虞美人草」と西片町からの転居の形で楠緒子へ第二の訣別のメッセージを送った漱石だったが、半年後のこの時点では、鏡子夫人と楠緒子を対比させて、楠緒子を選ぶというメッセージを謎掛けの形で、楠緒子に書き送ったのである。
          • 17.1 第一夜
          • 17.2 第三夜
          • 17.3 第五夜
          • 17.4 補足

          • 18. 検証と推理のまとめ
            漱石の恋は明治22年から明治43年までの長期にわたっている。本書では、テーマごとにその謎を解いてきた。多くの問題が相互に関連しているので、本章では、そうした事実と謎解きをまとめた。
          • 18.1 大学時代の漱石に惚れた女がいた
          • 18.2 明治22年の出会い
          • 18.3 眼科医で再会した女の子は明治22年の女である
          • 18.4 眼科医で再会した女の子は大塚楠緒子である
          • 18.5 れんは漱石の大学時代の恋人ではなかった
          • 18.6 明治27年に伊香保で何らかの事件が起きたーー伊香保事件
          • 18.7 明治27年7月の伊香保まで、漱石が楽観していた理由
          • 18.8 伊香保で示した小屋の潔さ
          • 18.9 明治27年の大学寄宿舎から法蔵院転居の理由
          • 18.10 明治27年の菅宅から法蔵院への転居の理由
          • 18.11 明治27年の法蔵院下宿を女が訪問し、漱石は失恋した
          • 18.12 法蔵院73番地へのこだわり
          • 18.13 若き漱石は一貫して一人の女性に恋い焦がれていた
          • 18.14 楠緒子は漱石の恋人だった事の傍証
          • 18.15 恋人は楠緒子であると漱石は「一夜」の中に書いていた
          • 18.16 法蔵院を訪ねた女は楠緒子だった
          • 18.17 猫伝中に隠された謎解きーー銀杏返しの女の子=楠緒子
          • 18.18 明治27年の漱石が実家にて縁談の相手の名をあかさなかった理由
          • 18.19 松山行きの複数の理由
          • 18.20 髭と髯
          • 18.21 小説中の人物の見かけの特徴
          • 18.22 夢十夜の第一話に籠められた楠緒子の復活
          • 18.23 夢十夜の第三話に籠められた明治27年の事件
          • 18.24 夢十夜の第五話に籠められた明治27年の破談

          • 19. 漱石が作品中に仕掛けた謎解きのまとめ
            本書で解読した謎解きをまとめた。

          • 20. 漱石の学友達
            大学時代の漱石と友人とのかかわりは重要な意味を持つので、まとめて紹介する。

          • 21. 上野公園から根津へ
            本章で紹介する道は、「それから」の親友二人の場面に使われている。「それから」をふまえて、その辺りを散策する。
          • 21.1 上野公園から言問通り
          • 21.2 へび道から藍染大通りへ
          • 21.3 S坂ーーー根津神社ーーー薮下通り

          • 22. 漱石の散歩道
            千駄木時代の漱石は本郷日陰町で人力車の楠緒子と邂逅する。その出会いは過去の出会いを踏まえて、重要な意味を持つ。漱石のその散歩道を歩く。
          • 22.1 東大周辺周回コース
          • 22.2 「三四郎」中の今見たい消え去った風景

          • 23. 漱石の実経験の記述
            「三四郎」の中で使われた漱石の実経験をまとめた。

          • 24. 漱石年譜:三四郎関連を主として
          • あとがき
          • 参考文献
          • 索引